| ピルとは |
避妊用の女性ホルモン剤で、経口避妊薬( Oral Contraceptives "OC" )とも呼ばれます。ピルは、妊娠中の状態に近い内分泌状態を作り出し、排卵が起こらないようにしますが、正しく服用して飲み忘れがない場合は、99.9%の確立で避妊できるといわれています。また、避妊以外の目的では、生理時期の調整や月経困難症(生理にともなう重い症状)の緩和などにも使用されます。かつては中用量ピルが用いられていましたが、副作用の軽減を目的として低用量、超低用量のピルが海外で開発され、日本国内でも1998年に低用量ピルが認可され処方されています。ピルの主成分は女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン剤)とプロゲストーゲン(黄体ホルモン剤)ですが、エストロゲンの配合量が50μg未満の製品を低用量ピル、30μg未満のものを超低用量ピルと呼んでいます。 |
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| 排卵と生理の仕組み |
排卵の時期になると脳の視床下部から性腺刺激ホルモンが分泌され、このホルモンが、脳の下垂体前葉に卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)の分泌を指示することで排卵が起こり、月経周期がコントロールされています。
初めに、FSHが卵巣へ分泌され、卵子の元である卵胞を刺激し、卵胞が大きくなって卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されます。このエストロゲンが血液を通って子宮に供給されると、子宮内膜を成長させて妊娠するための準備が行われます。血液中のエストロゲンの量が増えると、脳に視床下部では妊娠の準備が出来ていると判断して、脳の下垂体にFSHの分泌を止める指示を出す一方、今度は黄体ホルモン(LH)の分泌を指令します。
LHが多くなると、脳の体温中枢が刺激されて体温が上がり、LHが卵巣に分泌されると十分に成長した卵胞が破裂して排卵となります。排卵後の卵巣では、LHが新しい黄体を作り、この黄体から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。プロゲステロンは子宮に供給されて、エストロゲンによって成長した子宮内膜をさらに妊娠に適した状態にしますが、妊娠しなかった場合は、排卵から約2週間で子宮内膜がはがれ落ち、これが生理になります。
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| ピルの働き |
ピルが働く仕組みは人工的な妊娠状態を作り出すことですが、ピルを服用すると、卵巣ホルモン剤のエストロゲンとプロゲストーゲンが血液中を循環し、これらの血液濃度が上がると、脳の視床下部は妊娠状態と錯覚し、卵巣を刺激するためのホルモン分泌を止めるために、排卵が抑制されることになります。 さらにピルを服用すると、プロゲストーゲンの働きで、子宮頸管の粘液の粘性が高くなり、精子が子宮に入りにくくなります。また、ピルは、子宮内膜を薄くして、たとえ排卵が起きたとしても、受精卵が子宮に着床しにくい状態を作り出します。 |
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| ピルの種類 |
ピルの成分である卵胞ホルモンは全ての製品でエチニルエストラジオールが使用されていますが、黄体ホルモンには、ノルエチステロン、レボノルゲストレル、デソゲストレルという3種類のホルモン剤があり、それぞれ開発された順番に第1世代、第2世代、第3世代のピルと呼ばれています。特に第3世代ピルは第2世代ピルに見られた男性化症状(アンドロゲン作用)という副作用を克服するために開発され、世界中の女性の支持を得ましたが、日本国内では未だに販売されていません。
また、ピルには、服用周期中の卵巣ホルモンの配合比を一定に保った1相性ピルと配合比率を2段階、あるいは3段階に変えた2相性、3相性のピルがありますが、近年海外で販売されている超低用量ピルを含め、欧米では約60%の製品が1相性のピルになっています。
ピルの服用期間は21日で、21錠タイプのピルが一般的ですが、この場合は21日服用した後に7日間の休薬期間を設けます。このため、ピルの服用を継続しないことで起きる飲み忘れや服用スケジュールの誤りを避けるために、7錠の偽薬(プラセボ)を含めた28錠タイプのピルも販売されています。 |
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| ピルの副作用と副効用 |
ピルの飲み始めに起こる吐き気・頭痛・下痢・むくみ・おりものの増加・経血量の増加・のぼせ・血圧上昇などの副作用はエストロゲンによるものです。エストロゲンの量が多ければ副作用も強くなるため、第3世代のピルが最も副作用は軽いといわれていますが、エストロゲンの感受性には個人差があるため、人によって副作用の程度は大きく変わります。
プロゲストーゲン(黄体ホルモン剤)は、その作用で排卵を抑制するピルの主成分ですが、倦怠感・抑うつ感・乳房の張り・経血量の減少・性欲減退・月経前症候群(PMS)などの副作用をもたらすといわれています。また、プロゲストーゲンには現在3種類のホルモン剤があり、配合される用量はそれぞれ異なりますが、避妊薬としての効き目や副作用に差はありません。
ピルの副効用は副作用と同じく個人差がありますが、一般的に、生理周期の安定・生理痛の軽減・経血量の減少などがあります。また、ニキビ治療やバストアップ、ムダ毛が薄くなる、肌がきれいになるなどの効果が出る場合もあります。さらに、女性ホルモン作用として、子宮内膜症の予防や進行の停止、子宮体がん、卵巣がんのリスク軽減などが期待されています。 |
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| ピルの一般的な使用方法 |
ピルの服用方法には月経初日から飲み始める「DAY1スタート」と月経後初めての日曜日から服用を開始する「SUNDAYスタート」があり、「DAY1スタート」では21錠もしくは28錠タイプのシートを使用し、「SUNDAYスタート」では28錠タイプのシートを使用します。いずれも21日間服用した後、休薬期間をとして7日間は服用しないか、28錠タイプでは偽薬を7日間飲むことになります。ちなみに「SUNDAYスタート」の場合、最初の1シートの服用期間は他の避妊方法と併用する必要があります。また、1日飲み忘れた場合は、気づいた時に前日分の1錠と当日分の1錠(計2錠)を服用すれば問題ありませんが、2日以上忘れた場合は、そのシートの残りの錠剤を飲むことはやめて、次の月経を待ってから新しいシートの錠剤を飲み始めます。この場合、新しいシートの錠剤を服用するまでの期間は他の方法で避妊する必要があります。 |
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| モーニングアフターピル |
モーニングアフターピルは、性交後に服用する事後ピルで、緊急避妊薬とも呼ばれ、女性が望まない妊娠を避けるために開発された製品です。日本国内では中用量のピルが処方されていますが、受精卵の子宮内膜への着床を妨げることで避妊するようになっています。通常、性交の72時間以内に1回目の2錠を服用し、その12時間後に残り2錠を服用する使用方法(ヤッペ法)がとられます。妊娠の危険性のある性交後、24時間以内の服用で95%、72時間以内の服用で75%の避妊効果があるとされていますが、モーニングアフターピルは用量が多いために体への負担も大きく、また、避妊の確率も100%ではありませんので、あくまでも緊急時の避妊目的で使用すべきピルといえます。
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